« 「ほんとはないもの」 | トップページ | 『後悔なさい』 »

『すれ違い様』

『すれ違い様』

すれ違い様、
風を起こして、
少年が駆けていった

大きなかばんに、なんだかいろいろ詰め込んで、
背中でガチャガチャ揺らしながら、
少年が駆けてゆく

ボクも少年だった
今はその代わりに、
彼が少年になった
これからまた幾年(いくとせ)か
ときが過ぎ行けば、
また別の誰かが少年になっているだろう
そして
何かいっぱい詰め込んだかばんを
ガチャガチャ鳴らしながら、
目の前を駆けてゆくだろう

少年でいられるのは、
ほんの少しの間だから
そうやってガチャガチャ駆けてゆくことで、
ずっと少年でいられるかのように
そんな風に駆けてゆくんだ

だけれども、
いずれ少年と呼ばれなくなっても、
少年だったものたちの耳には
大きなかばんのガチャガチャという音が
ずっとずっと鳴っていて
そんなことをよく分かっているかのように、
少年は駆けてゆく、
命いっぱい

 

|

« 「ほんとはないもの」 | トップページ | 『後悔なさい』 »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/516552/66320122

この記事へのトラックバック一覧です: 『すれ違い様』:

« 「ほんとはないもの」 | トップページ | 『後悔なさい』 »