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詩作 『甲斐駒の朝』

  『甲斐駒の朝』

雲がなければ、甲斐駒は
盆地の街並みより、いち早く
朝日を浴びて、薄紅に輝き始める
南アルプスの山々は、いずれも
そんな風なんだろうが、
いつも甲斐駒しか見ていない

父の晩年、
「お父ちゃんが死んだら、甲斐駒の山頂から
 骨を撒いてやるね」
などとうそぶいたことを覚えている

今風に言えば、それは『終活』だったか、
そそくさと墓地を買い、
居間に神棚をつけたりする父だった

父と長兄とで、三男坊の弟に仕送りし、
それに応えて、
叔父は都庁を勤め上げた
順番で、弟が都会へ行くということだったのか

甲府の西のベッドタウンで、
父はわたしを肩車しながら言った
「ほれ、あれが東京だ、見えるか」
のちに思えば、どう考えてもあれは甲府の街
東京は甲府盆地を囲む山々の
さらに向こうだ

スイスに訪れた時、
マッターホルンは、甲斐駒にそっくりだなあ、と感じた
ピラミッド型の稜線が、南アルプス連峰のひとつでありながら、
ただひとり、毅然と立たせている

朝の光に空が白むころ、
いち早く朝日に照らされる甲斐駒は
まだ薄暗い
盆地の底の街並みを見下ろしながら、
今日も一日の始まりを告げている

      2017.1.8. 甲府駅南口 甲斐駒の見える茶店から

 

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