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やなせたかしさんのこと

やなせたかしさんが亡くなってしまった。

やんちゃなお年寄りだった。
長生きする人は、やんちゃなのか。長生きしたら、やんちゃに戻るのか。

彼は、天才・手塚治虫氏以前にデビューした漫画家で、衝撃の手塚氏デビュー以来、
その作風が古臭いと、仕事は激減したらしい。
そんな中、夜中に仕事をしながら、電球の明かりに手をかざすと、赤い血潮が見えた。
これが名作「手のひらを太陽に」のインスピレーションだったと聞く。

アンパンマンは、大ヒット。いまでも世界中で人気らしいが、
これが最初に絵本として世に出るのが、彼が60歳のとき。
ちなみに、ボクは今54歳(笑)。
そしてTVアニメ化されて、ブレイクするのが70歳のとき。
(うろ覚えです。確かめてみてね)

ご自身で作詞されたテーマソングは、東北などの被災地の人々を勇気付けた。
♪「何のために生きるのか わからないまま死ぬのはいやだ」

彼は言う。
「平和は敵を倒すことから得られるのではない」
「貧しい人々の飢えを救うことから始まる」

アンパンマンは、自身の顔を削って食べてもらうという、特異のスタイルで、
出版関係者から、当初大反対されたらしい。
しかし、それこそが、作品の命だった。

彼は、こうも言う。
「正義とは、必ず自己犠牲を伴うものだ」
そうして、アンパンマンは、顔を犠牲にする。

風雲児・手塚治虫氏にも、こんなマンガがある。
たしか「火の鳥」シリーズの中だったか、
幾人かの異なった星の人々が旅する中で、どうにも食料が尽きてしまう。
すると、ある星の人間が「ボクを食べて」と言う。
その星の人間は、そのような飢餓の場面で、ほかの人に食べてもらうように
体ができているのだと言う。
そして、ほかの星の人々は、彼を「いただいて」窮地を凌ぐのだ。

「正義のための自己犠牲」というと、不謹慎ながら、9.11も思い出してしまう。
ビルに突っ込む自爆テロはまさに自己犠牲である。

そうなれば、「正義とは」という話にもなるが、今日は触れない。

「正義のための自己犠牲」とはいえ、それが自身の信じる正義のためなら、
何の辛さもないかもしれない。むしろ、喜びのほうが大きいか。

やなせたかし氏も、時間と労力を費やし、
まさに血肉を削ってアンパンマンを世に送り出したことはたやすく想像できる。
まさに、それを、わたしたちは「いただいて」、
より良い明日へと思いをめぐらせる。


先日、甲府市立図書館へ行くと、別にそれを目指していたわけではないが、
書棚に、真っ赤な背表紙で「やなせたかし全詩集」とある。
厚さもたっぷり3センチほど。
思わず借りてきた。
高校、大学時代、やなせ氏監修の月刊誌「詩とメルヘン」をたびたび購入したが、
あの画風、あのやんちゃぶり、そのまんまな、まっすぐな詩があふれている本だ。

やなせさん、ありがとう。
ほんとうにありがとう。
同じ時代にいられて、うれしいです。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

なんというか奇遇というか偶然というか・・・

ワタシ昨日本屋さんでやなせさんの『ぼくは戦争は大きらい』という本を予約してきました。
やなせさんは「戦争のことはあまり話したくない」と生前語っていたのと、やなせさんの書く詞や物語が好きなので「読んでみたい!」と思ったのです。

以下、ネット上での話をコピペしたものになりますが、内容は次の通りになります。

2013年10月13日に94歳で亡くなったマンガ家で、詩人で、『アンパンマン』の作者であるやなせたかしが自らの戦争体験を綴った本。やなせは1915年の春に召集を受け、小倉の野戦銃砲部隊に入隊。召集期間満了直前の16年12月8日の開戦により、召集延期に。その後、中国戦線に派遣され、上海郊外で終戦をむかえた。やなせは自伝などの中で簡単に戦争のことを語っているが、戦争体験だけをまとめて話すのは、これが初めて。人殺しも、団体生活も嫌だったというやなせにとっての軍隊はばかばかしいだけの世界。しかし、辛い中にも何か楽しみを見出していく持ち前の性格で、戦争と軍隊を内部から風刺していく。特攻に志願した弟との別れなど、辛く悲しい思い出にも持ち前のユーモアを交えながら語る笑いと涙の戦記。嫌いな戦争のことはあまり語りたくないと考えていたやなせが、90歳を超え、戦争体験、軍隊体験を語り継ぐことで、過去の戦争のことが未来を生きる世代の記憶に少しでも残ればいい、と亡くなる直前まで語ったラストメッセージ。

ちなみに17日(火)が発売予定日です。

ぜひぜひソリタさんにも、戦争を体験した方や戦争を知らない子どもたちにも読んでもらいたい作品だな、と思います(*^ω^*)

定価は1400円ほどだったかな。

よかったら購入してみてくださいね(*^ω^*)

投稿: 由伊 | 2013年12月10日 (火) 08時52分

由伊さん、

それは興味のある本だね。

彼らの世代には、あたりまえだけど、戦争の大きな影響があって、
それが少なからず、のちの作品に関係している。
「敵を倒すより、まず、飢えている人を救え」というアンパンマンしかり。

また手塚治虫氏の話で恐縮だが、彼が終戦間もないころ、いわゆる日本が占領下にあった時、街を歩いていると、米兵に突然殴られた。何の理由もない。彼らは酔っ払って街を徘徊しながら、日本人の青年を見つけて、面白半分に殴った。それだけである。

ボクは白いライオンの話、「ジャングル大帝」を思い出す。白い帝王は、どんな理想郷を思い描いたのか。
余談ながら、「なぜ、白いライオンを思いついたのですか」という質問に対して、手塚氏は「夜、裸電球の下で色を塗ったら、黄色く塗ったつもりが白だった」と述べている。ボクにすれば、見え見えである(笑)と思っている。

ゴッドハンド、大山倍達氏が空手の修業を始めたのも、占領下、街で我が物顔に乱暴を働く米兵たちを見たからだったと聞く。

ボクらは何をすべきか。
トータス松本の「ストレイト」じゃないが、きっと答えはここにある。
今のボクらと世界にある。


投稿: そりた | 2013年12月11日 (水) 06時24分

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