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テーマは『情報時代の功罪』と『愛国心』

JR中央本線の普通電車に久しぶりに乗った。夕方のラッシュ時。

ホームにやってきた青年は、盛んに何かつぶやいている。
ぼくの前を通るとき、ぼくの方を気にしながら
「××という漢字は、××とも読むよねえ。」といったようなことを言っている。
耳を澄ませると、
「ゴという字は、ワレとも読めるよねえ。」と言っていって、
それが『吾』という字のことらしかったから、思わず。
「そうだねえ。読むねえ。」と相槌を打った。

するとその青年は、ぼくに興味を持ったらしく、
いろんなことを、思いつくままに、語りかけてくる。
今、イヤホンで聞いている相撲中継のこと、去年の11月、おばあちゃんが死んで、家で餅つきをしなかったこと‥‥
そのうち、隣のベンチに座っている。

どうも、彼は、漢字検定の2級に何年か前に受かったらしく、
そのことが、とても印象に残っているようだった。
とてもほめられたに違いない。
「準一級は受けないの?」と尋ねると、
難しいから、受けないのだそうだ。
2級は3度目のチャレンジで、ものにしたらしい。

「不幸があると、神社に行ってもいけないんだよねえ。」
「寂しい紅白だったねえ」
これは、みんな、去年の暮れ亡くなった、おばあちゃんのことだ。

「『××ショウロンブン』、受けたことある?」
「1100点と1200点だった。」
テーマは何だったの?ときけば、
「『ジョウホウシャカイノコウザイ』と『アイコクシン』」と言う。

小論文で、『情報社会の功罪』と『愛国心』というテーマだったのだろう。

たぶん、いわゆる自閉症であろう青年は28歳。
職場から帰宅する途中だった。
商品の補充と陳列などの仕事を、一日8時間、週5日やっているという。

そして、中央線の普通電車で8駅ばかりを一人で通う。

彼の頭に去来するのは、
漢検の2級に合格したこと
去年のおばあちゃんの死
相撲の秋場所のこと

そんなことを思いながら、
きっと今日も電車に乗ったのだろう。

ぼくもそろそろ、職を見つけないといけん。

彼は、白鳳のファンだという。

どんな小論文か、とても興味がある。

そして、彼は少しひるんだけれど、強引に握手して、
ぼくは先に電車を下りた。
「がんばれし。」

みんな、働いている。みんな、何か抱いている。

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コメント

何だか心温まる出逢いですね。

その青年もソリタさんに出逢って、何かが変わったと思います。

ワタシも病気が安定してきたので、そろそろ職探し始めます。

ワタシも今支えてくれている人のために頑張りたいと思います。

投稿: 由伊 | 2012年9月12日 (水) 19時50分

彼より、ぼくの方が変わったでしょう。

人というものは、すまして、かっこつけていても、心の中にあるものは、彼と大差ない。

それらのことは、たいしたことのないようなことで、とても重要なこと。

そんな普通のことを、みんな心に抱えているのに、他人の前では、相変わらず身構えてしまう。

出し抜かれないように。
見下されないように。

投稿: そ | 2012年9月13日 (木) 00時42分

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